リサイクル利用は、資源浪費の削減と環境汚染の低減に向けた重要な手段となっています。
アルミニウムは、軽量で耐食性に優れ、且つ高いリサイクル価値を持つ金属として、リサイクル分野において重要な地位を占めています。本稿では、回收物から純アルミニウムを精製する方法を探討し、その特性・応用を分析するとともに、他金属との比較を行います。
回收したアルミニウム製品は、まず「分類」と「洗浄」を行い、不純物(例:金属異物、プラスチック付着物)や塗装層を除去します。
- 分類:飲料缶(純アルミ主体)、自動車アルミ部品(アルミ合金)、電子機器筐体(表面処理アルミ)など、材質や用途に基づいて別々に仕分け;
- 洗浄:アルカリ性洗浄液や高温水を用いて油汚れ、食品残渣を洗い流し、塗装層は加熱(約 400℃)により燃焼除去することで、後続の溶解工程での不純物混入を防ぎます。
前処理を終えたアルミニウム素材を反射炉または誘導加熱炉に投入し、660~700℃ の温度で加熱して液状アルミニウムに溶解します。
純アルミニウムの融点は約 660.3℃ですが、実際の工程では溶解効率を高めるため、50~100℃の余熱を加えて温度を調整します。また、炉内に不活性ガス(アルゴン)を注入し、溶解中のアルミニウムの酸化を抑制します。
熔融状態のアルミニウムに「フラックス(融剤)」を添加し、撹拌機で均一に混合することで、鉄、シリコン、銅などの不純物を除去します。
フラックスは塩化物系(例:塩化ナトリウム、塩化マグネシウム)が主流で、不純物と反応して比重の小さいスラグ(滓)を形成し、液状アルミニウムの表面に浮上させた後、スコップで除去します。この工程で約 90% の金属系不純物を除去できます。
不純物除去後、さらに「電解精製」または「真空蒸留」によりアルミニウムの純度を高めます。
- 電解精製:液状アルミニウムを電解槽に入れ、低電流を通じて残留する微量不純物(例:マグネシウム、亜鉛)を陰極に析出させて除去し、純度を 99.9% 以上に引き上げ;
- 真空蒸留:真空環境下で熔融アルミニウムを加熱し、沸点の低い不純物を蒸発除去する方法で、高純度アルミニウム(99.99% 以上)の製造に適しています。
精製後の高純度液状アルミニウムを、金型(鋳型)に流し込み、常温で冷却・凝固させて「純アルミニウムインゴット(塊状)」または「アルミニウム板素材」に成形します。冷却速度は結晶構造に影響するため、徐冷(1~2℃/ 分)により均一な結晶を形成し、後続の加工性を向上させます。
純アルミニウムの密度は2.7g/cm³ で、鉄(7.87g/cm³)や銅(8.96g/cm³)など他の工業用金属に比べて大幅に低いです。例えば、同一体積の部品で比較すると、アルミニウム製品の重量は鉄製品の約 1/3、銅製品の約 1/3.3 となり、重量削減が求められる分野で大きなメリットを発揮します。
純アルミニウムは空気中で表面に緻密な酸化アルミニウム膜(厚さ約 5~10nm) を自然に形成し、この膜が内部のアルミニウムを保護してさらなる酸化を防ぎます。この特性により、アルミニウムは雨水や湿気の多い環境でも長期間腐食しにくく、屋外用途に適しています(ただし、酸性・アルカリ性の強い環境では酸化膜が溶解するため、表面処理が必要となる場合があります)。
純アルミニウムの導電率は62% IACS(国際アニール銅標準) で、銅(100% IACS)や銀(105% IACS)よりは低いものの、鉄(17% IACS)やステンレス鋼(3~5% IACS)より大幅に優れています。また、単位重量あたりの導電率は銅の約 2 倍であるため、電線・ケーブルなどの導電部品では、重量削減とコストバランスを考慮してアルミニウムが活用されることが多いです。
純アルミニウムは展延性と伸び性に優れ、冷間圧延により厚さ数 μm のアルミニウム箔に加工できるだけでなく、プレス成形、押出成形などの方法で複雑な形状の製品(例:カーボディパネル、建築用型材)に容易に加工できます。常温でも脆化しにくい特性から、多様な加工プロセスに対応可能です。
自動車、航空機、鉄道車両の「軽量化設計」において、純アルミニウムが広く使用されています。
- 自動車:ボディパネル、ホイール、燃料タンク(重量削減により燃費向上);
- 航空機:機体構造部品、客室内部材(軽量性と耐食性を両立);
- 鉄道:車両外板、座席フレーム(運行エネルギー削減に貢献)。
建築材料として、純アルミニウムは「耐食性」と「加工性」を活かして多様に活用されます。
- 門窓:アルミサッシ(雨水による腐食が少なく、長寿命);
- 屋根・外壁:アルミパネル(軽量で施工が容易、色彩豊かな表面処理が可能);
- 内装:天井材、手すり(美観と耐久性を両立)。
純アルミニウムは「遮水性」「遮気性」に優れるため、包装材料として大量に使用されます。
- アルミニウム箔:食品包装(例:レトルト食品、菓子)、医薬品包装(湿気や酸素から内容物を保護);
- 飲料缶:アルミ缶(軽量で運搬コストが低く、リサイクル率が高い);
- 真空包装:精密部品の防錆包装(外部環境からの汚染を遮断)。
電子機器の部品として、純アルミニウムの「導電性」と「熱伝導性」が活用されます。
- 電線・ケーブル:高圧送電線(重量当たり導電率が高く、架線作業が容易);
- 放熱器:CPU 冷却用ヒートシンク(熱伝導性に優れ、発熱を効率的に放出);
- ケース:スマートフォン・ノートパソコンの筐体(軽量で電磁シールド効果も有する)。
下表に、純アルミニウムと代表的な工業用金属(鉄、銅、ステンレス鋼、銀)の主要特性を比較します。
- 重量:純アルミニウムの密度は他金属の 1/3~1/4 程度で、軽量化が必須の分野(航空機、電動車)では他金属に比べて明確な優位性があります。
- 耐食性:ステンレス鋼には劣るものの、鉄より大幅に優れ、日常環境ではメンテナンスフリーで使用できるため、屋外用途で鉄の代替材料として普及しています。
- 導電性:銅や銀には及ばないものの、単位重量当たりの導電効率が高く、電線などでは「銅の代替+重量削減」のニーズに応えています。
- コスト:原料コストは銅やステンレス鋼より低く、且つリサイクル時のエネルギー消費が極めて少ないため、長期的な運用コストでは他金属に比べて強い競争力を持ちます。
回收を通じて純アルミニウムを精製することは、環境への負荷を削減するだけでなく、資源の効率的な利用を実現する重要な手段です。純アルミニウムは「軽量」「耐食性」「導電性」といった特性を活かし、交通、建築、電子など多くの分野で広い応用前景を持っています。
他金属との比較でも、アルミニウムは重量、耐食性、コストの面で明確な優位性を有し、持続可能な発展を推進する上で不可欠な材料の一つと言えます。
- 核心用語の産業適合性
- IACS(アイアックス):「国際アニール銅標準(International Annealed Copper Standard)」の略で、金属の導電性を評価する国際基準で、日本電気学会「導体材料基準」に採用され、電線・ケーブル分野での材料選定に必須の指標です。
- SUS304(スエスエス 304):日本工業規格(JIS G 4305)で定められたオーステナイト系ステンレス鋼の一種で、クロム(18%)とニッケル(8%)を含有し、優れた耐食