ロッカーテーブル(揺動選別機)は重力選鉱設備(じゅうりょくせんこうせつび)に属し、平面溜槽(へいめんりゅうそう)から発展(はってん)した後、その非対称往復運動(ひたいしょうおうふくうんどう)を特徴(とくちょう)として独自の体系(たくじのたいけい)を形成(けいせい)した。ロッカーテーブルはいずれも床面(ゆかめん)、機架(きか)および伝動機構(でんどうきこう)の三大部分(さんだいぶぶん)で構成(こうせい)され、床面は台形(だいけい)または菱形(りょうけい)を呈(な)し、横方向(よこほうこう)に 1 度~5 度の傾斜(けいしゃ)がある。傾斜の上部(じょうぶ)には給鉱槽(きゅうこうそう)と給水槽(きゅうすいそう)が配置(はいち)され、床面には縦方向(たてほうこう)に床条(ゆかじょう:床面の凸条)が設置(せっち)され、その高さ(たかさ)は伝動端(でんどうたん)から反対側(はんたいそく)に向かって低下(ていか)する。床面全体(ぜんたい)は機架によって支持(しじ)され、床面の一端(いったん)には伝動装置(でんどうそうち)が取り付け(とりつけ)られている。この伝動装置により、床面は前進(ぜんしん)して末端(まったん)に近づいた際(さい)に急回運動特性(きゅうかいうんどうとくせい)、すなわちいわゆる差動運動(さどううんどう)を持つことができる。
ロッカーテーブルは細粒鉱石(さいりゅうこうせき)を選別(せんべつ)する常用(じょうよう)の選鉱設備で、金属鉱石(きんぞくこうせき)を処理(しょり)する際の有効選別粒度範囲(ゆうこうせんべつりゅうどはんい)は 3~0.019 ミリメートルで、石炭選別(せきたんせんべつ)の際の上限粒度(じょうげんりゅうど)は 10 ミリメートルに達(たっ)することができる。ロッカーテーブルの最大の長所(ちょうしょ)は選別精度(せんべつせいど)が高いことで、1 回の選別で高品位精鉱(こうひんいせいこう)または廃棄尾鉱(はいきびこう)を得ることができ、同時(どうじ)に複数(ふくすう)の製品(せいひん)を回収(かいしゅう)することも可能(かのう)である。平面ロッカーテーブルは管理(かんり)が容易(ようい)で、調整(ちょうせい)も便利(べんり)である。主な短所(たんしょ)は設備占有面積(せつびせんゆうめんせき)が大きく、単位工場面積(たんいこうじょうめんせき)あたりの処理能力(しょりのうりょく)が低いことである。
ロッカーテーブルの応用(おうよう)には約 100 年の歴史(れきし)があり、初期(しょき)のロッカーテーブルは衝撃(しょうげき)を利用(りよう)して床面に非対称往復運動を生じさせ、1890 年には石炭選別に使用(しよう)されるようになった。選鉱用(せんこうよう)ロッカーテーブルは 1896~1898 年に A. ウィルフリー(Wilfley)によって製作(せいさく)され、偏心肘板機構(へんしんちゅうばんきこう)が採用(さいよう)された。1918 年にはプラット=オー(Plat-O)がカムレバー(かむればー)によって別の形式(けいしき)の伝動機構を製作した。これら 2 種類(しゅるい)のロッカーテーブル主軸台(しゅじくだい)構造(こうぞう)は改良(かいりょう)を経(へ)て今日(きょう)まで使用されている。第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん)後(ご)、ドイツでは偏心輪伝動(へんしんりんでんどう)の高速(こうそく)ロッカーテーブルが製作された。我が国(わがくに)では 1964 年に慣性バネ式ロッカーテーブル(かんせいばねしきろっかーてーぶる)の開発(かいはつ)に成功(せいこう)し、既に生産(せいさん)に普及(ふきゅう)・応用されている。
ロッカーテーブルの占有面積が大きい問題(もんだい)を解決(かいけつ)するため、床面は多層化(たそうか)および遠心化(えんしんか)の方向(ほうこう)に発展している。1950 年代(ねんだい)、我が国では既に二層ロッカーテーブル(にそう)、四層ロッカーテーブル(よんそう)および六層スライムロッカーテーブル(ろくそうすらいむ)が製作されたが、床面の慣性力(かんせいりょく)を平衡(へいこう)させることが難しいため普及しなかった。旧ソ連(きゅうソれん)では二連三層ロッカーテーブル(にれんさんそう)の開発が行(おこな)われたことがある。イギリスでは 1960 年代にガラス繊維強化プラスチック(ガラスせんいきょうかプラスチック、FRP)を床面の材料(ざいりょう)として二層および三層ロッカーテーブルを製作し、各床面には個別(こべつ)の伝動機構が装備(そうび)されている。西ドイツ(にしドイツ)では石炭選別工場(せきたんせんべつこうじょう)の大処理量(だいしょりりょう)要求(ようきゅう)を満たすため、多層配置(たそうはいち)のタワー架台(たわーかだい)を建設(けんせつ)した。これら多層構造(たそうこうぞう)のロッカーテーブルは依然(いぜん)として従来(じゅうらい)の据置式(すえおきしき)設置方式(せっちほうしき)を踏まえ(ふまえ)ており、床板(ゆかいた)の上に大量(だいりょう)に設置することは依然としてできない。
1957 年にアメリカでは最初(さいしょ)に多偏心慣性歯車主軸台(たへんしんかんせいはぐるましゅじくだい)が開発され、続いて多層懸架式ロッカーテーブル(たそうけんかきしき)が製作された。これはロッカーテーブル構造における重大(じゅうだい)な革新(かくしん)である。1975 年に我が国でもこの種(しゅ)のロッカーテーブルが製作され、既に生産に応用されている。
遠心ロッカーテーブル(えんしんろっかーてーぶる)は床面を円弧状(えんこじょう)に製作し、複数の床面で円筒(えんとう)を囲み(かこみ)、軸方向(じくほうこう)にスリット(すりっと)を開け(あけ)、振動(しんどう)すると同時に回転運動(かいてんうんどう)の中で遠心力(えんしんりょく)を利用して選別過程(せんべつかてい)を強化(きょうか)するものである。工業試験(こうぎょしけん)において良好(りょうこう)な選別効果(せんべつこうか)が得られたが、構造が複雑(ふくざつ)であるため普及しなかった。
我が国では 1913 年にウィルフリー式ロッカーテーブル(ウィルフリーしき)を導入(どうにゅう)し、現在(げんざい)ではタングステン(タングステン)、スズ(すず)、ニオブ(ニオブ)、タンタル(タンタル)および金含有鉱石(きんがんゆうこうせき)の選別に大量のロッカーテーブルが使用されている。雲南スズ鉱業会社(うんなんすずこうぎょうがいしゃ、雲錫会社)だけでも 1986 年時点(じてん)で 1784 台(だい)のロッカーテーブルが応用され、商品スズ精鉱(しょうひんすずせいこう)の生産量(せいさんりょう)は総量(そうりょう)の約 86%を占(し)めている。海外(かいがい)では石炭選別(主に硫化鉄(りゅうかてつ)の除去(じょきょ))にロッカーテーブルを使用するケースも多いが、我が国の石炭選別工場での応用はまだ少ない。表 11.5.1 には我が国で応用されているロッカーテーブルの種類(しゅるい)を示す。
ロッカーテーブルの種類は主に主軸台、床面、支持機構(しじきこう)および傾斜調整装置(けいしゃちょうせいそうち)の組み合わせ(くみあわせ)によって区別(くべつ)される。我が国の工業用(こうぎょうよう)ロッカーテーブルの分類は表 11.5.1 のとおりである。除此之外(このほか)、構造(こうぞう)や応用(おうよう)の違い(ちがい)によっても分類することができる。
- 床面の配置(はいち)により、左勝手(ひだりがって)と右勝手(みぎがって)に分かれる。主軸台の位置(いち)から床面を見(み)たとき、給鉱槽が左側(ひだりがわ)にあれば左勝手ロッカーテーブル、右側(みぎがわ)にあれば右勝手ロッカーテーブルと呼ぶ。
- 設置方式(せっちほうしき)により、据置式(すえおきしき)と懸架式(けんかきしき)に分かれる。
- 床面の層数(そうすう)により、単層ロッカーテーブル(たんそう)と多層ロッカーテーブル(たそう)に分かれる。
- 処理原料(しょりげんりょう)の違いにより、選鉱用ロッカーテーブルと石炭選別用ロッカーテーブルに分かれる。
- 処理鉱石粒度(しょりこうせきりゅうど)により、鉱砂用(こうさよう:2~0.2 ミリメートル)ロッカーテーブルとスライム用(すらいむよう:0.2 ミリメートル以下)ロッカーテーブルに分かれる。鉱砂用ロッカーテーブルはさらに粗砂用(そしゃよう:2~0.5 ミリメートル)ロッカーテーブルと細砂用(ほそすなよう:0.5~0.2 ミリメートル)ロッカーテーブルに分類できる。
床面は選別の作業面(さぎょうめん)であり、形状(けいじょう)には台形、菱形などがある。我が国ではほぼ台形床面(だいけいゆかめん)を採用しており、その長所は配置しやすいことである。台形床面の三角形無鉱帯(さんかくけいむこうたい)を切り取(きりと)り、下部(かぶ)の尾鉱側(びこうそく)に接続(せつぞく)することで菱形床面(りょうけいゆかめん)が構成される。この形状により選別面(せんべつめん)を有効利用(ゆうこうりよう)できるとともに選別時間(せんべつじかん)を延長(えんちょう)でき、海外